技術士 過去問
令和4年度(2022年)
問41 (適性科目 問11)
問題文
製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。次の(ア)〜(ク)のうち、「PL法としての損害賠償責任」には該当しないものの数はどれか。なお、いずれの事例も時効期限内とする。
(ア)家電量販店にて購入した冷蔵庫について、製造時に組み込まれた電源装置の欠陥により、発火して住宅に損害が及んだ場合。
(イ)建設会社が造成した土地付き建売住宅地の住宅について、不適切な基礎工事により、地盤が陥没して住居の一部が損壊した場合。
(ウ)雑居ビルに設置されたエスカレータ設備について、工場製造時の欠陥により、入居者が転倒して怪我をした場合。
(エ)電力会社の電力系統について、発生した変動(周波数)により、一部の工場設備が停止して製造中の製品が損傷を受けた場合。
(オ)産業用ロボット製造会社が製作販売した作業ロボットについて、製造時に組み込まれた制御用専用ソフトウェアの欠陥により、アームが暴走して工場作業者が怪我をした場合。
(カ)大学ベンチャー企業が国内のある湾で自然養殖し、一般家庭へ直接出荷販売した活魚について、養殖場のある湾内に発生した菌の汚染により、集団食中毒が発生した場合。
(キ)輸入業者が輸入したイタリア産の生ハムについて、イタリアでの加工処理設備の欠陥により、消費者の健康に害を及ぼした場合。
(ク)マンションの管理組合が保守点検を発注したエレベータについて、その保守専門業者の作業ミスによる不具合により、その作業終了後の住民使用開始時に住民が死亡した場合。
(ア)家電量販店にて購入した冷蔵庫について、製造時に組み込まれた電源装置の欠陥により、発火して住宅に損害が及んだ場合。
(イ)建設会社が造成した土地付き建売住宅地の住宅について、不適切な基礎工事により、地盤が陥没して住居の一部が損壊した場合。
(ウ)雑居ビルに設置されたエスカレータ設備について、工場製造時の欠陥により、入居者が転倒して怪我をした場合。
(エ)電力会社の電力系統について、発生した変動(周波数)により、一部の工場設備が停止して製造中の製品が損傷を受けた場合。
(オ)産業用ロボット製造会社が製作販売した作業ロボットについて、製造時に組み込まれた制御用専用ソフトウェアの欠陥により、アームが暴走して工場作業者が怪我をした場合。
(カ)大学ベンチャー企業が国内のある湾で自然養殖し、一般家庭へ直接出荷販売した活魚について、養殖場のある湾内に発生した菌の汚染により、集団食中毒が発生した場合。
(キ)輸入業者が輸入したイタリア産の生ハムについて、イタリアでの加工処理設備の欠陥により、消費者の健康に害を及ぼした場合。
(ク)マンションの管理組合が保守点検を発注したエレベータについて、その保守専門業者の作業ミスによる不具合により、その作業終了後の住民使用開始時に住民が死亡した場合。
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問題
技術士試験 令和4年度(2022年) 問41(適性科目 問11) (訂正依頼・報告はこちら)
製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。次の(ア)〜(ク)のうち、「PL法としての損害賠償責任」には該当しないものの数はどれか。なお、いずれの事例も時効期限内とする。
(ア)家電量販店にて購入した冷蔵庫について、製造時に組み込まれた電源装置の欠陥により、発火して住宅に損害が及んだ場合。
(イ)建設会社が造成した土地付き建売住宅地の住宅について、不適切な基礎工事により、地盤が陥没して住居の一部が損壊した場合。
(ウ)雑居ビルに設置されたエスカレータ設備について、工場製造時の欠陥により、入居者が転倒して怪我をした場合。
(エ)電力会社の電力系統について、発生した変動(周波数)により、一部の工場設備が停止して製造中の製品が損傷を受けた場合。
(オ)産業用ロボット製造会社が製作販売した作業ロボットについて、製造時に組み込まれた制御用専用ソフトウェアの欠陥により、アームが暴走して工場作業者が怪我をした場合。
(カ)大学ベンチャー企業が国内のある湾で自然養殖し、一般家庭へ直接出荷販売した活魚について、養殖場のある湾内に発生した菌の汚染により、集団食中毒が発生した場合。
(キ)輸入業者が輸入したイタリア産の生ハムについて、イタリアでの加工処理設備の欠陥により、消費者の健康に害を及ぼした場合。
(ク)マンションの管理組合が保守点検を発注したエレベータについて、その保守専門業者の作業ミスによる不具合により、その作業終了後の住民使用開始時に住民が死亡した場合。
(ア)家電量販店にて購入した冷蔵庫について、製造時に組み込まれた電源装置の欠陥により、発火して住宅に損害が及んだ場合。
(イ)建設会社が造成した土地付き建売住宅地の住宅について、不適切な基礎工事により、地盤が陥没して住居の一部が損壊した場合。
(ウ)雑居ビルに設置されたエスカレータ設備について、工場製造時の欠陥により、入居者が転倒して怪我をした場合。
(エ)電力会社の電力系統について、発生した変動(周波数)により、一部の工場設備が停止して製造中の製品が損傷を受けた場合。
(オ)産業用ロボット製造会社が製作販売した作業ロボットについて、製造時に組み込まれた制御用専用ソフトウェアの欠陥により、アームが暴走して工場作業者が怪我をした場合。
(カ)大学ベンチャー企業が国内のある湾で自然養殖し、一般家庭へ直接出荷販売した活魚について、養殖場のある湾内に発生した菌の汚染により、集団食中毒が発生した場合。
(キ)輸入業者が輸入したイタリア産の生ハムについて、イタリアでの加工処理設備の欠陥により、消費者の健康に害を及ぼした場合。
(ク)マンションの管理組合が保守点検を発注したエレベータについて、その保守専門業者の作業ミスによる不具合により、その作業終了後の住民使用開始時に住民が死亡した場合。
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この過去問の解説 (3件)
01
製造物責任法(PL法)は、”製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする”法律です。
この範囲にあたるものは製造物責任法第3条により、以下の通りです。
① 「製造物」に該当すること
② 製造業者等が製造物を「引き渡した」こと
③ 製造物に「欠陥」が存在したこと
④ 損害が発生したこと
⑤ 欠陥と損害との間の因果関係があること
これに該当するものを選びます。
(ア)家電量販店にて購入した冷蔵庫について、製造時に組み込まれた電源装置の欠陥により、発火して住宅に損害が及んだ場合。
下線部が該当します。
(イ)建設会社が造成した土地付き建売住宅地の住宅について、不適切な基礎工事により、地盤が陥没して住居の一部が損壊した場合。
製造物の要件として、”動産”があり、不動産は該当しませんのでこの選択肢は製造物責任法の対象外です。
(ウ)雑居ビルに設置されたエスカレータ設備について、工場製造時の欠陥により、入居者が転倒して怪我をした場合。
下線部が該当します。
(エ)電力会社の電力系統について、発生した変動(周波数)により、一部の工場設備が停止して製造中の製品が損傷を受けた場合。
欠陥があったわけではないので該当しません。
(オ)産業用ロボット製造会社が製作販売した作業ロボットについて、製造時に組み込まれた制御用専用ソフトウェアの欠陥により、アームが暴走して工場作業者が怪我をした場合。
ソフトウェアは有体物にあたりませんが、機械に組み込まれたソフトウェア・プログラムは製造物責任の対象になりますので下線部が該当します。
(カ)大学ベンチャー企業が国内のある湾で自然養殖し、一般家庭へ直接出荷販売した活魚について、養殖場のある湾内に発生した菌の汚染により、集団食中毒が発生した場合。
欠陥があったわけではないので該当しません。また製造物にもあたりません。
(キ)輸入業者が輸入したイタリア産の生ハムについて、イタリアでの加工処理設備の欠陥により、消費者の健康に害を及ぼした場合。
下線部が該当します。
(ク)マンションの管理組合が保守点検を発注したエレベータについて、その保守専門業者の作業ミスによる不具合により、その作業終了後の住民使用開始時に住民が死亡した場合。
修理、修繕、整備は「製造又は加工」に該当しないとされているため該当しません。
以上4つ該当することからこの選択肢が正解になります。
パターンが決まっておりますので、ソフトウェアは該当しないが装置内に組み込まれたプログラム(制御プログラムなど)は該当、メンテナンス不良は該当しないことなどを覚えておきましょう。
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02
製造物責任法(PL法)は、技術士にとっても重要な法令となります。
問題文ア~クについての、PL法対象に関する正誤は、以下のとおりです。
(ア)
工場で組み込まれた電源装置の製造上の欠陥により冷蔵庫が発火し、住宅に損害。
→ 冷蔵庫は製造された動産で、原因も製品の欠陥です。PL法の対象に該当します。
(イ)
造成・建売の住宅で不適切な基礎工事により地盤陥没・損壊。
→ 住宅は不動産で、PL法の「製造物」には含まれません。請負契約や民法の責任で検討する事案です。PL法には該当しません。
(ウ)
雑居ビルのエスカレータが製造時の欠陥で転倒・負傷。
→ エスカレータという製造物(動産)の欠陥による人身被害で、PL法の対象に該当します。
(エ)
電力系統の周波数変動で工場設備が停止し、製品が損傷。
→ 電気そのものは「動産」ではなく、一般にPL法の「製造物」には含まれません。電力の品質・供給は契約や個別法の領域で論じます。PL法には該当しません。
(オ)
産業用ロボットに組み込まれた制御用ソフトの欠陥でアームが暴走し労働者が負傷。
→ 組み込みソフトは製品の一部として評価され、製造物の欠陥に当たります。PL法に該当します。
(カ)
大学ベンチャーが自然養殖し活魚を直接販売。湾内の菌汚染で集団食中毒。
→ 未加工の水産物はPL法の「製造物」に含まれません(加工されると対象になり得ます)。本件は未加工のためPL法には該当しません。
(キ)
輸入業者が輸入した加工食品(生ハム)で健康被害。イタリア側の加工設備の欠陥が原因。
→ 加工食品は製造物で、輸入業者はPL法上の「製造業者等」に含まれます。PL法に該当します。
(ク)
エレベータの保守専門業者の作業ミス(役務の不備)で死亡事故。
→ 役務(サービス)のミスは製造物の欠陥ではないため、PL法の対象外です(民法の不法行為・契約責任の問題になり得ます)。PL法には該当しません。
こちらが正解です。
ひっかけ的な質問文もありますが、製造物責任法(PL法)を十分に理解しておくことをお薦めします。
PL法は「製造または加工された動産の欠陥」による人身・財産被害に無過失で対応する仕組みです。
したがって、不動産(住宅の施工不良)・電気・未加工の農林畜水産物・役務(保守点検など)は対象外になります。
本問では(イ)(エ)(カ)(ク)が該当外で、数は4です。
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03
製造物責任法に関する問題です。
イ:不動産はPL法の対象外
要点:製造物責任法でいう「製造物」は“製造または加工された動産”に限られるため、建物や土地などの不動産は対象外です。
補足:ただし、住宅に取り付けられたエレベーターや給湯器などの“動産”部分の欠陥はPL法の対象になり得ます。不動産(建物)そのものの欠陥は、請負契約や民法上の責任で検討します。
エ:電気はPL法の対象外
要点:電気そのものは「動産」とは扱われないため、PL法の対象外です。
補足:一方で、電気製品(家電や分電盤など)の欠陥はPL法の対象です。電気の品質や供給の問題は、契約上の責任や個別法(電気事業関連のルール)で検討します。
カ:未加工の農林畜水産物はPL法の対象外
要点:収穫・屠畜しただけなど「未加工」の状態の農産物・畜産物・水産物は、PL法の対象外です。
補足:洗浄・カット・加熱・包装などの加工が施されると“製造または加工された動産”となり、加工食品としてPL法の対象になり得ます。
ク:保守作業ミスはPL法ではなく別の責任が中心
要点:保守点検や修理は“役務(サービス)”であり、製造物の欠陥ではないため、原則としてPL法の適用外です。
補足:適用外でも賠償責任が消えるわけではありません。保守業者には民法上の不法行為責任や契約上の債務不履行責任が問われる可能性があります。なお、事故原因が製品自体の欠陥にあればPL法の議論に切り替わります。
対象外は4つであり、本選択肢が正解です。
製造物責任法に関する問題でした。
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