技術士 過去問
令和3年度(2021年)
問37 (適性科目 問37)
問題文
営業秘密に関する次の(ア)〜(エ)の記述のうち、正しいものは○、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)顧客名簿や新規事業計画書は、企業の研究・開発や営業活動の過程で生み出されたものなので営業秘密である。
(イ)有害物質の垂れ流し、脱税等の反社会的な活動についての情報は、法が保護すべき正当な事業活動ではなく、有用性があるとはいえないため、営業秘密に該当しない。
(ウ)刊行物に記載された情報や特許として公開されたものは、営業秘密に該当しない。
(エ)「営業秘密」として法律により保護を受けるための要件の1つは、秘密として管理されていることである。
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問題
技術士試験 令和3年度(2021年) 問37(適性科目 問37) (訂正依頼・報告はこちら)
営業秘密に関する次の(ア)〜(エ)の記述のうち、正しいものは○、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)顧客名簿や新規事業計画書は、企業の研究・開発や営業活動の過程で生み出されたものなので営業秘密である。
(イ)有害物質の垂れ流し、脱税等の反社会的な活動についての情報は、法が保護すべき正当な事業活動ではなく、有用性があるとはいえないため、営業秘密に該当しない。
(ウ)刊行物に記載された情報や特許として公開されたものは、営業秘密に該当しない。
(エ)「営業秘密」として法律により保護を受けるための要件の1つは、秘密として管理されていることである。
- ア:○ イ:○ ウ:○ エ:×
- ア:○ イ:○ ウ:× エ:○
- ア:○ イ:× ウ:○ エ:○
- ア:× イ:○ ウ:○ エ:○
- ア:○ イ:○ ウ:○ エ:○
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は5で「すべて正しい」です。
不正競争防止法上の「営業秘密」とは以下です
・有用性「事業活動に有用な情報のこと」「公序良俗に反しないこと」
・秘密管理性「社内でその情報が秘密であることがわかるよう管理されていること」
・非公知性「一般に知られてないこと」
ア:正しい
まず、新規事業計画は間違いなく3要件を満たしており、営業秘密ですね。
では「顧客名簿」はどうでしょうか。裁判所の判例では「秘密管理性」が認められるものについては営業秘密となり、そうでないものは認められないとなっています。
つまり顧客名簿がDBに保存されており認証しないとみれません、という状態であれば「秘密管理性」があるとみなされるし、ノートに書いてあってパッとだれでも閲覧できる場所に置かれていたら秘密管理性はないとみなされます。また、名刺管理ソフトに入っていた顧客の情報(会社名氏名など)は名刺の目的から公表とみなされ営業秘密と認められなかったケースもあります。
イ:正しい
公序良俗に反していたり、反社会的である内容は有用性はないとみなされます。
ウ:正しい
刊行物に記載された情報や、閲覧可能な特許は、秘密管理性がないので営業秘密にはあたりません。
エ:正しい
秘密管理性のことを言っているので正しいです。
以上より、「顧客名簿」の秘密管理性については前提が書かれていないものの、基本的には従業員は顧客情報を厳重に管理するでしょうから「すべて正しい」を正解としてよいのではないでしょうか。
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02
営業秘密(Trade Secret)とは、企業の事業活動において得られる重要な情報のうち、外部に漏えいすると企業の競争上の地位を損なうおそれがある情報を、法律によって保護する仕組みを指します。
日本では「不正競争防止法」第2条第6項でその定義が明示されており、営業秘密として認められるためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
1.秘密管理性
情報が秘密として適切に管理されていること(例:閲覧制限、機密マーク、IDアクセス管理など)
2.有用性
その情報が企業の事業活動にとって有益であること(技術上または営業上の価値を有すること)
3.非公知性
一般に公表されていない情報であること
(ア)〇
顧客リストや事業計画書は、企業内部で生成・蓄積される情報であり、一般に営業秘密として扱われることが多いものです。
もっとも、これらが法的に営業秘密として保護されるには、上記の3要件、特に「秘密管理性」と「非公知性」が確保されていることが前提となります。本設問では、これらの条件が満たされている前提で、営業秘密に該当すると判断しました。
(イ)〇
営業秘密が保護対象となるのは、社会的に適法で有用な事業活動に関する情報に限られます。違法・不正行為に関する情報は、企業活動における「有用性」が認められず、法的に保護の対象にはなりません。したがって、こうした情報は営業秘密として扱われません。
(ウ)〇
「非公知性」が失われているため、営業秘密とは認められません。刊行物や特許公報の内容はすでに社会的に広く知られており、秘密としての保護を受ける余地はありません。
(エ)〇
営業秘密の成立には「秘密管理性」が不可欠です。たとえば、機密情報の明示、アクセス権の制限、データ保管の管理など、一定の管理措置が求められます。仮に情報自体が有用であっても、管理が不十分であれば営業秘密として認められません。
以上の検討結果を整理すると、
(ア)〇 (イ)〇 (ウ)〇 (エ)〇
となります。
本設問については、上記の営業秘密の3要件を理解し、素直に考えれば該当有無の判断は容易かと思われます。
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03
国内企業における情報漏洩は、近年も残念なことに多発しています。技術士としても、営業秘密関連の情報を扱うことがありますので、今後も出題される可能性の高い質問かと思います。
ア~エの記述文に関する、正誤は下記のとおりです。
ア:顧客名簿などは、営業秘密において中心的な項目です(正しい)
イ:反社会的行為については、営業秘密には該当しません(正しい)
ウ:特許等は公開情報でもあり、営業秘密には該当しません(正しい)
エ:営業秘密は、秘密として管理されていることが必要です(正しい)
ア~エまで、全て正しいですから、本選択肢が正解です。
問題文をよく読めば、回答にたどり着くことが可能かと思います。なお営業秘密については、しっかりと理解しておく必要があります。
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