技術士 過去問
令和3年度(2021年)
問38 (適性科目 問38)

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問題

技術士試験 令和3年度(2021年) 問38(適性科目 問38) (訂正依頼・報告はこちら)

我が国の製造物責任(PL)法には、製造物責任の対象となる「製造物」について定められている。次の(ア)〜(エ)の記述のうち、正しいものは◯、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)土地、建物などの不動産は責任の対象とならない。ただし、エスカレータなどの動産は引き渡された時点で不動産の一部となるが、引き渡された時点で存在した欠陥が原因であった場合は責任の対象となる。
(イ)ソフトウェア自体は無体物であり、責任の対象とならない。ただし、ソフトウェアを組み込んだ製造物による事故が発生した場合、ソフトウェアの不具合と損害との間に因果関係が認められる場合は責任の対象となる。
(ウ)再生品とは、劣化、破損等により修理等では使用困難な状態となった製造物について当該製造物の一部を利用して形成されたものであり責任の対象となる。この場合、最後に再生品を製造又は加工した者が全ての責任を負う。
(エ)「修理」、「修繕」、「整備」は、基本的にある動産に本来存在する性質の回復や維持を行うことと考えられ、責任の対象とならない。
  • ア:○  イ:×  ウ:○  エ:○
  • ア:×  イ:○  ウ:○  エ:×
  • ア:○  イ:○  ウ:×  エ:○
  • ア:○  イ:×  ウ:○  エ:×
  • ア:×  イ:○  ウ:×  エ:○

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。PL法の対象範囲も頻出ですね。

消費者庁より

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html

この法律では、製造物を「製造又は加工された動産」と定義しています(本法第2条第1項)。人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産を対象としており、このため、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは、この法律の対象にはなりません。

上記が基本ですが例外や条件があるため順番に見ていきましょう。

(ア)正しい:

ビルに設置されたエスカレータに問題があった場合は対象範囲ですね。

(イ)正しい:

これはこのまま覚えてしまったほうがいいですが、ソフトウェアが組み込まれているハードウェアが問題を起こした場合、その原因がソフトウェアのバグだったら責任対象になるということです。たとえば、ソフトのバグで人型ロボットが誤作動し殴られた、など。

(ウ)誤り:

因果関係があれば再生品の再生前の製造者も責任を負うことになります。

(エ)正しい:

上記消費者庁ホームページより

Q「設置」や「修理」を行った者は、製造物責任を負う対象となっていますか。

A製品の設置・修理に関する製品の不適切な取扱いによって欠陥が生じた場合については、製品を流通させた後の問題であることから、設置・修理業者は、基本的には、製造物責任を負う対象にならないと考えられます。

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02

営業秘密と同様に、

製造物責任PL法も技術士にとっては、重要な課題となります。

ア~エの記述に関する正誤は、下記のとおりです。

ア:不動産は、製造物責任法の対象外です(正しい)

イ:ソフトウエア自体については、こちらも対象外です(正しい)

ウ:再生品の欠陥は、出た損害との因果関係ある場合、因果関係を引き起こした再生品加工者に製造物責任があります(間違い)

エ:修理、修繕などは、対象外となります(正しい)

選択肢3. ア:○  イ:○  ウ:×  エ:○

ウのみ間違いですから、本選択肢が正解です。

まとめ

時間があれば、製造物責任法の条文についても読んでおくことをお薦めします。

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03

製造物責任法(PL法)における「製造物」は、対象が「動産」に限られ、不動産およびソフトウェアそのもの(無体物)は、原則として対象外になります。但し、例外的にソフトウエア等で動産に組み込まれて機能している場合には対象とみなされることがあります。

また、「修理」や「整備」などの行為は、既存製品の性能維持や回復を目的とするため、新たな製造や加工には該当しません。一方、「再生品」などは、新たに製造・加工が行われたものと判断され、PL法の対象となります。

選択肢3. ア:○  イ:○  ウ:×  エ:○

(ア)〇

PL法の対象は基本的に「動産」ですが、エスカレータのように建物に設置されたものでも、引き渡し時点で欠陥が存在した場合には、製造物としての責任を問われることがあります。したがって、不動産の一部となった後でも、元々の「製造物」として扱われることになります。

 

(イ)〇

ソフトウェア単体は「無体物」であるためPL法の適用外ですが、家電製品や自動車など、ソフトウェアが組み込まれて動作している動産に欠陥がある場合、その不具合がソフトウェアに起因していても「製造物の欠陥」として責任を問うことができます。

 

(ウ)×

製造物責任は、欠陥の発生に関与した事業者がそれぞれの範囲で負うものであり、原因が部品製造や設計にある場合には、それらの関係者も責任を負うことになります。再生加工業者のみが一方的に責任を負うわけではありません。

 

(エ)〇

修理や整備は、既存の機能を維持・回復させる行為に過ぎず、「新たな製造や加工」とはみなされません。そのため、PL法上の「製造物」に該当せず、製造物責任の対象外となります。

まとめ

正しい組み合わせは

ア:〇 イ:〇 ウ:× エ:〇 です。

 

PL法の適用範囲を正確に理解しておくことは非常に重要です。本設問は基礎的な確認を目的とする内容であり、試験前の復習に最適なテーマといえるでしょう。

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