技術士 過去問
令和6年度(2024年)
問19 (基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問1)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

技術士試験 令和6年度(2024年) 問19(基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

ハロゲンに関する次の(ア)〜(エ)の記述について、正しいものの組合せとして、最も適切なものはどれか。

(ア)ハロゲン原子の電気陰性度は、大きいものからF,Cl,Br,I の順である。
(イ)ハロゲン分子の酸化力は、強いものからF2,Cl2,Br2,I2の順である。
(ウ)同濃度のハロゲン化水素の水溶液に含まれる水素イオンの濃度は、高いものからHF,HCl,HBr,HI の順である。
(エ)ハロゲン化水素の沸点は、高いものからHF,HCl,HBr,HIの順である。

  • ア、イ
  • ア、ウ
  • イ、ウ
  • イ、エ
  • ウ、エ

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

ハロゲンとは、元素の周期表の第17族の元素のことです。

(ア):正しい 電気陰性度とは、原子が電子を自分の方に引きつける強さのことです。同族で周期表の下にいくほど小さくなります。

(イ):正しい 酸化力とは、酸化する力、すなわち電子を奪う力のことです。電気陰性度と同様に、同族で周期表の下にいくほど小さくなります。

(ウ):誤り ハロゲン化水素の酸の濃度はHI>HBr>HCl>HFとなります。特にHFは弱酸になります。

(エ):誤り ハロゲン化水素の沸点はHF>HI>HBr>HClとなります。HF以外は分子量の大きさの順に沸点が高くなります。ただし、HFは水素結合が強いため最も高い沸点を持ちます。

選択肢1. ア、イ

したがって、正しい組み合わせは本選択肢となります。

まとめ

特にハロゲン化水素の沸点については、元素の周期表の順番と異なるため注意が必要です。

参考になった数30

02

本設問は、ハロゲン(17族元素:F、Cl、Br、I)とその化合物(主にハロゲン化水素)の性質に関する理解を問う問題です。

ハロゲンの周期表上での位置関係、電気陰性度、酸化力、酸性の強さ、そして沸点に関する知識を総合的に確認する内容となっています。

 

 

 

 

 

選択肢1. ア、イ

(ア)正しい

電気陰性度は、原子が電子を引きつける強さを表す数値であり、周期表の右上ほど大きくなります。

ハロゲンの中では、周期が上にあるほど電気陰性度は大きいです。 

したがって、F > Cl > Br > I の順に電気陰性度が大きくなります。

よって、(ア)は正しいです。

 

(イ)正しい

酸化力とは、他の物質から電子を奪う能力の強さです。

ハロゲン分子(X₂)は次の反応で電子を奪って還元されます標準電極電位が高いほど酸化力が強いので、

順序は、F₂ > Cl₂ > Br₂ > I₂ となります。

よって、(イ)は正しいです。

 

(ウ)誤り

水溶液中の水素イオン濃度(酸の強さ)は、酸の電離のしやすさ(酸解離定数)によって決まります。

これは、H–X結合(水素結合)の強さが下に行くほど弱くなり、電離しやすくなるためです。

したがって、水素イオン濃度(酸性の強さ)はHFが最も弱く、HIが最も強くなります。

順序は HF < HCl < HBr < HI

よって(ウ)は誤りです。

 

(エ)誤り

ハロゲン化水素の沸点は分子間力に依存します。

通常、分子量が大きいほど分散力(ファンデルワールス力)が強くなり、沸点も高くなりますが、HFは特別です。

HF分子間には強い水素結合が存在するため、非常に高い沸点を示します。

したがって沸点の順は、HF > HI > HBr > HCl

よって、(エ)は誤りです。

 

正解は(ア、イ)となります。

まとめ

・ハロゲン原子(F, Cl, Br, I)の周期表上の位置と電気的性質

・元素の酸化力・還元力の強さの比較ができるか

・ハロゲン化水素(HF, HCl, HBr, HI)の酸性・沸点の性質の違い、等

については、それらの化学的特性をよく押さえておきましょう。

参考になった数5