技術士 過去問
令和6年度(2024年)
問22 (基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問4)

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問題

技術士試験 令和6年度(2024年) 問22(基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

材料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • クロムの含有率が10%未満の鉄系合金はステンレス鋼ではない。
  • 比強度は、単位密度当たりの引張強度を表した数値であり、ヤング率を密度で除して求められる。
  • 室温において、純銅、純鉄、純金の電気抵抗率には、「純銅 < 純金 < 純鉄」の関係が成立する。

  • ダイヤモンドは硬度が高く熱膨張率が小さいため、切削工具の素材として用いられる。
  • 水素の吸収によって金属材料の物性が変化する現象を水素脆化と呼ぶ。

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この過去問の解説 (2件)

01

材料に関する基本的な知識を問う問題です。

問題を見てみましょう。

選択肢1. クロムの含有率が10%未満の鉄系合金はステンレス鋼ではない。

正しい選択肢です。

ステンレス鋼とは、クロムの含有率が10.5%以上の鉄系合金です。

選択肢2. 比強度は、単位密度当たりの引張強度を表した数値であり、ヤング率を密度で除して求められる。

不適切です。したがって本選択肢が正解です。

比強度とは、単位密度当たりの引張強度を表した数値であり、引張強度÷密度で求めます。

ヤング率は関係ありません。

選択肢3.

室温において、純銅、純鉄、純金の電気抵抗率には、「純銅 < 純金 < 純鉄」の関係が成立する。

正しい選択肢です。

、純金、純鉄の順で電気抵抗率が低くなります。

選択肢4. ダイヤモンドは硬度が高く熱膨張率が小さいため、切削工具の素材として用いられる。

正しい選択肢です。

ダイヤモンドは非常に硬い材料です。また、熱による変形が少ないため切削工具や研磨工具として使用されます。

選択肢5. 水素の吸収によって金属材料の物性が変化する現象を水素脆化と呼ぶ。

正しい選択肢です。

水素脆化とは、金属が水素を吸収することで脆くなる現象です。特に、高強度の金属において問題となります。

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02

この問題は、材料の基本物性・定義の理解を問う代表的な基礎問題です。

 

選択肢1. クロムの含有率が10%未満の鉄系合金はステンレス鋼ではない。

適切。

ステンレス鋼は、鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含有する合金で、耐食性を持つことが特徴です。

したがって、この記述は正しいです。

 

選択肢2. 比強度は、単位密度当たりの引張強度を表した数値であり、ヤング率を密度で除して求められる。

不適切。

比強度とは、「引張強度(または降伏強さ)を密度で割った値」を指します。

つまり、比強度=引張強度/密度 です。一方、「ヤング率を密度で除して求められる」値は比弾性率です。

したがって、「比強度」と「比弾性率」を混同しており、誤りです。

選択肢3.

室温において、純銅、純鉄、純金の電気抵抗率には、「純銅 < 純金 < 純鉄」の関係が成立する。

適切。

代表的な金属の室温(約20℃)での電気抵抗率(単位:μΩ・cm)は、銅:約1.68、金:約2.44、鉄:約9.71 です。

この関係から、純銅 < 純金 < 純鉄 が成立しています。

したがって、この記述は正しいです。

 

選択肢4. ダイヤモンドは硬度が高く熱膨張率が小さいため、切削工具の素材として用いられる。

適切。

ダイヤモンドは炭素の同素体で、非常に高い硬度(モース硬度10)を持ち、熱伝導率も高く、熱膨張率が極めて小さいことが特徴です。

これらの性質により、切削工具や研磨材として広く利用されています。

したがって、この記述は正しいです。

 

選択肢5. 水素の吸収によって金属材料の物性が変化する現象を水素脆化と呼ぶ。

適切。

金属が水素を吸収・拡散することで、靱性や延性が低下し、脆くなる現象を水素脆化と呼びます。

特に高強度鋼などで顕著に見られます。

したがって、この記述は正しいです。

 

まとめ

設問対策としては、材料工学の用語(比強度、比弾性率、延性、靭性、硬度、脆性など)や、金属の物性値(電気抵抗率、比重、硬度、融点など)については、しっかり整理しておきましょう。

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