技術士 過去問
令和6年度(2024年)
問33 (適性科目 問3)
問題文
著作権法は、昨今の情報通信技術の進展等の時代の変化に対応して、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」について、その必要と認められる限度において、利用できることとした「柔軟な権利制限規定」が整備されるなど、権利保護と著作物の利用の円滑化とのバランスをとる措置がなされてきている。
著作権に関し、次の(ア)〜(エ)のうち、正しいものは○、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)公表された学術論文からの引用は、著作権者の承諾がある場合を除き、著作権侵害となる。
(イ)官公庁が作成し、公表した官公資料は、公共のために広く利用させるべき性質のものであるため、これを禁止する旨の表示がない等の要件を満たせば、説明の材料として転載できる。
(ウ)人工知能の開発に関し人工知能が学習するためのデータの収集行為や人工知能の開発を行う第三者への学習用データの提供行為は、著作者等の権利制限の対象となる。
(エ)美術品の複製に適したカメラやプリンターを開発するために美術品を試験的に複製する行為や複製に適した和紙を開発するために美術品を試験的に複製する行為は、著作者等の権利制限の対象となる。
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問題
技術士試験 令和6年度(2024年) 問33(適性科目 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
著作権法は、昨今の情報通信技術の進展等の時代の変化に対応して、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」について、その必要と認められる限度において、利用できることとした「柔軟な権利制限規定」が整備されるなど、権利保護と著作物の利用の円滑化とのバランスをとる措置がなされてきている。
著作権に関し、次の(ア)〜(エ)のうち、正しいものは○、誤っているものは×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)公表された学術論文からの引用は、著作権者の承諾がある場合を除き、著作権侵害となる。
(イ)官公庁が作成し、公表した官公資料は、公共のために広く利用させるべき性質のものであるため、これを禁止する旨の表示がない等の要件を満たせば、説明の材料として転載できる。
(ウ)人工知能の開発に関し人工知能が学習するためのデータの収集行為や人工知能の開発を行う第三者への学習用データの提供行為は、著作者等の権利制限の対象となる。
(エ)美術品の複製に適したカメラやプリンターを開発するために美術品を試験的に複製する行為や複製に適した和紙を開発するために美術品を試験的に複製する行為は、著作者等の権利制限の対象となる。
- ア:✕ イ:◯ ウ:◯ エ:◯
- ア:◯ イ:✕ ウ:◯ エ:◯
- ア:◯ イ:◯ ウ:✕ エ:◯
- ア:◯ イ:◯ ウ:◯ エ:✕
- ア:◯ イ:◯ ウ:◯ エ:◯
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この過去問の解説 (2件)
01
著作権法に関する問題です。著作権法は下記で閲覧できます。
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
(ア)は×です。公正な範囲内であれば、公表された著作物は引用することができます。(著作権法 第32条)
(イ)は〇です。説明の通りです。(著作権法 第13条)
(ウ)は〇です。説明の通りです。(著作権法 第47条の4・第47条の5)
(エ)は〇です。「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」に該当します。(著作権法 第30条の4)
したがって、本選択肢が正解です。
AIと著作権については、重要なポイントなのでよく理解しておきましょう。文化庁ホームページにまとまっています。https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
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02
本設問は、著作権法における権利制限(例外的に著作物を利用できる場合)に関する理解を問うものです。各選択肢は各々、引用、官公庁資料の利用、AI学習利用、試験的複製に関する内容となっています。
(ア)×
著作権法第32条の引用には次の要件があります。
・ 公正な慣行に合致していること
・ 報道、批評、研究などのための正当な範囲内であること
・ 引用部分が主従関係で「従」となっていること
・ 出所の明示をしていること
上記の場合には著作権者の承諾がなくても適法に引用できます。
(イ)〇
著作権法第13条では、以下のような著作権の対象外を定めています。
憲法、法律、政令、告示、訓令、通達など、国または地方公共団体が作成し、公表したものは、著作権の対象となりません。また、官公資料(報告書・統計など)でも、著作権を主張しない旨の表示がある場合や、禁止の明示がない場合には、説明・引用目的での転載が認められることがあります。
(ウ)〇
2018年の著作権法改正により、「柔軟な権利制限規定(第30条の4)」が新設されました。
これにより、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」は、一定条件のもとで自由に利用できるようになりました。
(エ)〇
これも(ウ)と同様に、著作権法第30条の4によって定められた「柔軟な権利制限規定」に該当します。
複製行為が、機械や素材の性能試験・開発目的で行われる場合は、権利制限の対象として許諾不要です。
正解は、① ア:× イ:○ ウ:○ エ:○ となります。
2018年の改正以降、AI・ビッグデータ・IoTなどの新技術に対応するためには、柔軟に著作物の利用を認める仕組みが整備されました。
著作権法は、単に著作者の権利を保護するだけでなく、文化・技術の発展を妨げないように配慮していることに注意しましょう。
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