技術士 過去問
令和6年度(2024年)
問34 (適性科目 問4)

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問題

技術士試験 令和6年度(2024年) 問34(適性科目 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

組織の社会的責任(SR:Social Responsibility)の国際規格として、2010年、ISO 26000 「Guidance on social responsibility」 が発行された。また、それに続き、2012年、ISO規格の国内版(JIS)として、JIS Z 26000:2012(社会的責任に関する手引)が制定されている。
この手引きにおいて社会的責任の原則に関する次の記述の、( ア )〜( オ )に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。

組織が社会的責任に取り組み、実践するとき、その包括的な目的は( ア )に最大限に貢献することである。この目的に関して社会的責任の原則を網羅した明確なリストは存在しないが、組織は、以下に示す7つの原則を尊重すべきである。
組織は、たとえそれが困難だと思われる場合でも、具体的な状況において、正しい又はよいと一般に認められている行動の原則と一致した基準、指針及び規範に基づいて行動すべきである。
この規格を適用する際に、組織は、( イ )との整合性をとりつつ、経済状況の違いに加えて、社会、環境、法、文化、政治及び組織の( ウ )を考慮に入れることが望ましい。
1)説明責任
2)( エ )
3)倫理的な行動
4)ステークホルダーの利害の尊重
5)法の支配の尊重
6)国際行動規範の尊重
7)( オ )
  • ア:持続可能な発展  イ:国際行動規範  ウ:多樣性  エ:透明性  オ:人権の尊重
  • ア:公共の福祉の発展  イ:自国の法規  ウ:多樣性  エ:機密情報の保護  オ:公共の福祉
  • ア:持続可能な発展  イ:国際行動規範  ウ:独自性  エ:透明性  オ:人権の尊重
  • ア:公共の福祉の発展  イ:自国の法規  ウ:独自性  エ:機密情報の保護  オ:公共の福祉
  • ア:持続可能な発展  イ:国際行動規範  ウ:多樣性  エ:機密情報の保護  オ:人権の尊重

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この過去問の解説 (2件)

01

JIS Z 26000:2012(社会的責任に関する手引)の4章「社会的責任の原則」に関する問題です。

 

(ア)~(オ)に入る語句は下記のようになります。

(ア)持続可能な発展

(イ)国際行動規範

(ウ)多様性

(エ)透明性

(オ)人権の尊重

 

本設問のポイントは文中の1)~7)の内容です。この「7つの原則」を理解しておきましょう。

選択肢1. ア:持続可能な発展  イ:国際行動規範  ウ:多樣性  エ:透明性  オ:人権の尊重

したがって、本選択肢が正解です。

まとめ

JIS Z 26000には、「7つの原則」のほかに「7つの中核主題」も示されています。その内容は以下の通りです。

1) 組織統治

2) 人権

3) 労働慣行

4) 環境

5) 公正な事業慣行

6) 消費者の課題

7) コミュニティへの参画及びコミュニティの発展

「7つの原則」と同様に重要なポイントです。覚えておきましょう。

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02

本設問は、ISO 26000(社会的責任に関する手引き)およびその日本版規格 JIS Z 26000:2012 に示されている「社会的責任の7原則」に関する理解を問う内容です。

ISO 26000は、企業や団体などの組織が社会的責任を果たすための考え方や行動指針を示した国際規格であり、認証制度ではなく「行動の手引き」という位置づけです。

 

社会的責任を果たす上での最終目的は、「持続可能な発展」に貢献することです。

ISO 26000の序文においても、社会的責任の取組を通じて、現在および将来の世代の福祉に資する持続可能な社会の形成を目指すことが明記されています。

したがって、(ア)には 持続可能な発展 が入ります。

 

ISO 26000では、社会的責任の遂行にあたって、以下の7つの基本原則を尊重すべきとしています。

・説明責任:組織は、その活動の影響について説明する責任を負う。

透明性:意思決定や活動、影響に関する情報を適切に公開しなければならない。

・倫理的な行動:社会的に受け入れられる道徳・倫理に基づいて行動する。

・ステークホルダーの利害の尊重:利害関係者(従業員、顧客、地域社会など)の意見・期待を考慮する。

・法の支配の尊重:すべての活動は法令の遵守を前提とする。

・国際行動規範の尊重:国際的に承認された規範(人権、労働、環境など)を尊重する。

・人権の尊重:あらゆる人の基本的権利を尊重し、侵害を避けるよう努める。

したがって、(エ)には 透明性(オ)には 人権の尊重 が入るのが妥当です。

 

ISO 26000の適用にあたっては、単に自国の法令に従うだけでなく、国際的な行動規範との整合性を確保することが求められています。

また、世界各国や地域ごとに社会的背景・文化・経済体制・法制度が異なるため、社会的・環境的・文化的な多様性を尊重する姿勢も重視されています。

よって、(イ)には 国際行動規範(ウ)には 多様性が入ります。

選択肢1. ア:持続可能な発展  イ:国際行動規範  ウ:多樣性  エ:透明性  オ:人権の尊重

正解は、ア:持続可能な発展 イ:国際行動規範 ウ:多様性 エ:透明性 オ:人権の尊重  となります。

まとめ

ISO 26000では、「社会的責任の7原則」に加え、その適用にあたっての「経済的・文化的背景や地域特性の考慮」、「国際的な倫理・法の基準との整合」、「社会的信頼の確立」について理解しておきましょう。

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