技術士 過去問
令和6年度(2024年)
問35 (適性科目 問5)
問題文
環境保全に関する次の記述のうち、正しいものは◯、誤っているものは✕として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)カーボンニュートラルとは、市民、企業、NPO/NGO,自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うと
ともに、削減が困難な部分の排出量について、カーボン・クレジット等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせる取組をいう。
(イ)プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)とは、地球の変化に関する各項目について、人間が安全に活動できる範囲のことであり、その範囲にとどまれば人間社会は発展し繁栄できるが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされるとされている。
(ウ)トップランナー基準とは、エネルギー多消費機器のうち 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づき、指定したエネルギー多消費機器の省エネルギー基準を、各々の機器において、基準設定時に商品化されている製品のうち最も省エネ性能が優れている機器の性能以上に設定するものをいう。
(エ)カーボン・オフセットとは、社会の構成員が、取組の対象において重要なすべての活動範囲を考慮して温室効果ガスの排出量を認識し、排出量を最小化する目標及び計画に沿って主体的かつ継続的にこれを削減するとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジット等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態をいう。
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問題
技術士試験 令和6年度(2024年) 問35(適性科目 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
環境保全に関する次の記述のうち、正しいものは◯、誤っているものは✕として、最も適切な組合せはどれか。
(ア)カーボンニュートラルとは、市民、企業、NPO/NGO,自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うと
ともに、削減が困難な部分の排出量について、カーボン・クレジット等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせる取組をいう。
(イ)プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)とは、地球の変化に関する各項目について、人間が安全に活動できる範囲のことであり、その範囲にとどまれば人間社会は発展し繁栄できるが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされるとされている。
(ウ)トップランナー基準とは、エネルギー多消費機器のうち 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づき、指定したエネルギー多消費機器の省エネルギー基準を、各々の機器において、基準設定時に商品化されている製品のうち最も省エネ性能が優れている機器の性能以上に設定するものをいう。
(エ)カーボン・オフセットとは、社会の構成員が、取組の対象において重要なすべての活動範囲を考慮して温室効果ガスの排出量を認識し、排出量を最小化する目標及び計画に沿って主体的かつ継続的にこれを削減するとともに、削減が困難な部分の排出量について、クレジット等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態をいう。
- ア:◯ イ:◯ ウ:◯ エ:◯
- ア:✕ イ:◯ ウ:◯ エ:◯
- ア:◯ イ:✕ ウ:✕ エ:◯
- ア:◯ イ:◯ ウ:✕ エ:✕
- ア:✕ イ:◯ ウ:◯ エ:✕
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この過去問の解説 (2件)
01
環境保全に関する問題です。各記述の〇×は次のようになります。
(ア)×
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量についは、その排出量の全部を埋め合わせる取組をいいます。
(イ)〇
(ウ)〇
(エ)×
カーボン・オフセットとは、温室効果ガスの排出量を削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量についは、その排出量の一部または全部を埋め合わせる取組をいいます。
本問題のポイントは「カーボンニュートラル」と「カーボン・オフセット」の違いを理解することです。
簡単にまとめると下記のようになります。
カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量と吸収量を±0にするという取組
カーボン・オフセット:温室効果ガスの排出削減や吸収量の増加につながる活動に投資する取組
したがって、本選択肢が正解です。
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02
この問題は、気候変動・環境政策・エネルギー効率化に関する基本概念についての理解を問うものです。それぞれの概念が何を意味するかを正確に把握することがポイントです。
(ア)×
カーボンニュートラルとは、人間活動に伴って排出される温室効果ガスの量と、吸収・除去される量を差し引いて実質ゼロにすることを意味します。
定義上、「カーボン・クレジット等により埋め合わせる(オフセット)」という考え方を含みますが、「カーボンニュートラル」と「カーボン・オフセット」は別概念です。
(イ)〇
プラネタリー・バウンダリーは、人類が安全に地球環境を利用できる「環境の限界」を示す理論です。
気候変動・生物多様性喪失・土地利用・窒素・リン循環など9つの項目について、持続可能な範囲を超えると、地球システムが不可逆的に変化する危険があるとされています。
この記述は定義に合致しています。
(ウ)〇
トップランナー基準とは、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に基づく制度です。
対象となる家電や自動車などの機器について、市場で最も高い省エネルギー性能を持つ製品(トップランナー)を基準値として、省エネ基準を定める方式をいいます。
この記述は法律上の定義を正確に説明しています。
(エ)×
カーボン・オフセットとは、自らの温室効果ガス排出量のうち、削減困難な分を他の場所での削減・吸収活動への投資(クレジット購入等)で相殺(オフセット)する仕組みです。
したがって、「排出量を最小化し、残りをクレジット等で埋め合わせる」という部分は正しいですが、「全部を埋め合わせた状態」としている点が誤りです。
したがって、ア:× イ:◯ ウ:◯ エ:× が適切な組合せです。
カーボンニュートラルの実現(2050年目標)では、企業・自治体の排出量可視化(GHGプロトコル等)、省エネ技術の強化(トップランナー制度)、持続可能な開発目標(SDGs)やプラネタリー・バウンダリーへの配慮が不可欠とされています。
これらの目標の定義をよく理解しておきましょう。
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