技術士 過去問
令和7年度(2025年)
問21 (基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問3)

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問題

技術士試験 令和7年度(2025年) 問21(基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

金属材料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 硫黄を質量分率で0.3%含有する鋼材は、硫黄を質量分率で0.005%含有する鋼材に比べ被削性に優れる。
  • 体心立方構造を有する金属は、結晶の単位胞に含まれる原子の数が2個である。
  • 鋼材は、結晶粒を粗大化させることにより、強度を向上させることができる。
  • 加工硬化した金属材料を加熱し再結晶させると、延性を増加させることができる。
  • シャルピー衝撃試験は、金属材料のじん性を評価することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

金属材料に関する問題です。

選択肢1. 硫黄を質量分率で0.3%含有する鋼材は、硫黄を質量分率で0.005%含有する鋼材に比べ被削性に優れる。

硫黄を約0.3%含有する鋼材は、快削鋼と言い、硫黄分が0.005%と非常に少ない一般鋼材と比べて、優れた被削性があります。

選択肢2. 体心立方構造を有する金属は、結晶の単位胞に含まれる原子の数が2個である。

体心立方構造の金属結晶は、単位格子頂点8か所にある1/8原子と、中心の1個の原子を合わせ、合計で2個の原子を含みます。

選択肢3. 鋼材は、結晶粒を粗大化させることにより、強度を向上させることができる。

鋼材は、結晶粒を微細化させて転位の移動を阻害し、強度と靭性を向上させることができます。

選択肢4. 加工硬化した金属材料を加熱し再結晶させると、延性を増加させることができる。

加工硬化した金属材料を再結晶温度以上に加熱すると、歪みがない結晶粒が生成・成長し、冷間加工時の転位密度が減少し、金属硬さが低下し、延性が増加します

選択肢5. シャルピー衝撃試験は、金属材料のじん性を評価することができる。

じん性とは、粘り強さや衝撃に対する耐性で、シャルピー衝撃試験は、それを評価します。

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02

金属材料の結晶粒の特性、中でも粒径と強度の関係性の理解度を問う問題です。

選択肢1. 硫黄を質量分率で0.3%含有する鋼材は、硫黄を質量分率で0.005%含有する鋼材に比べ被削性に優れる。

硫黄が多い鋼は被削性が向上するため正しいです。

選択肢2. 体心立方構造を有する金属は、結晶の単位胞に含まれる原子の数が2個である。

体心立方構造を有する金属の単位胞の頂点にある原子は8分割されているため、1個の原子が1/8として数えられ、中心にある原子は1個として数えられます。

従って、単位胞に含まれる原子の数は2個となり、この選択肢は正しいです。

選択肢3. 鋼材は、結晶粒を粗大化させることにより、強度を向上させることができる。

結晶粒(grain)は多結晶材料の基本構成単位であり、その大きさと分布が材料の機械的性質を大きく左右します。

Hall-Petch関係によると、微細粒になると強度・硬度が大きくなり、粗大化すると強度が低下します。

従って、この設問は不適切です。

選択肢4. 加工硬化した金属材料を加熱し再結晶させると、延性を増加させることができる。

加工硬化された材料を加熱すると、材料中のひずみが解放され、新しいひずみが微少の結晶粒に置き換わる回復・再結晶という現象が起きます。

その際、延性を増加するため、この設問は正しいです。

選択肢5. シャルピー衝撃試験は、金属材料のじん性を評価することができる。

シャルピー衝撃試験とは、金属の動的負荷(衝撃荷重)に対する抵抗を評価する方法で、金属材料のじん性を評価できます。

従って、この設問は正しいです。

まとめ

金属材料の結晶粒の特性や、試験方法など基本的なことは覚えておきましょう。

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03

この問題では、結晶粒の大きさと強度の関係を正しく覚えているかが大切です。

選択肢1. 硫黄を質量分率で0.3%含有する鋼材は、硫黄を質量分率で0.005%含有する鋼材に比べ被削性に優れる。

これは正しいです。
硫黄は、鋼を切ったり削ったりしやすくするはたらきがあります。
そのため、硫黄を多く含む鋼は被削性がよくなると考えます。
もちろん、硫黄が多すぎると別の性質に悪い影響が出ることはありますが、この記述は被削性について述べているので適切です。

選択肢2. 体心立方構造を有する金属は、結晶の単位胞に含まれる原子の数が2個である。

これは正しいです。
体心立方構造では、立方体の8つの頂点に原子があり、さらに立方体の中心にも原子があります。
頂点の原子は1個まるごと入るのではなく、1つの原子を8つの単位胞で分け合っています。
そのため、頂点の分で
8×1/8=1個
中心の分で
1個
合計で2個になります。

選択肢3. 鋼材は、結晶粒を粗大化させることにより、強度を向上させることができる。

これは不適当です。
鋼材では、結晶粒を細かくするほど強度が上がりやすいです。
結晶粒の境目は、変形の進み方をじゃまするため、粒が細かいほどすべりにくくなります。
反対に、結晶粒が粗くなると変形しやすくなり、強度は下がりやすいです。

選択肢4. 加工硬化した金属材料を加熱し再結晶させると、延性を増加させることができる。

これは正しいです。
加工硬化した金属は、かたくなるかわりに、のびにくくなります。
しかし、加熱して再結晶させると、新しい結晶ができて内部のひずみが減るため、やわらかさやのびやすさが戻ります
つまり、再結晶によって延性を増やすことができます。

選択肢5. シャルピー衝撃試験は、金属材料のじん性を評価することができる。

これは正しいです。
シャルピー衝撃試験は、試験片を一気にたたいて、どれだけのエネルギーで破断したかを見る試験です。
この値から、材料が衝撃に対してどれだけねばり強いかを調べることができます。
そのため、金属材料のじん性の評価に使われます。

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