技術士 過去問
令和7年度(2025年)
問44 (適性科目 問14)

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問題

技術士試験 令和7年度(2025年) 問44(適性科目 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

近年リスクアセスメントの手法として、下図に示す英国安全衛生庁のキャロットダイアグラム(ALARPの原理)の考え方がIEC(国際電気標準会議)やJIS(日本産業規格)に取り入られている。この考え方の特徴は、安全を「受容できないリスクがないこと=広く受け入れ可能なレベルにまでリスクが軽減されていること」と定義していることである。そして、「広く受け入れ可能なリスク」と「許容できないリスク」との間には、リスクと便益との比較、並びに、リスク軽減に要する費用と軽減によって得られるメリットとの比較において、「ALARP(AsLowAsReasonablyPracticable:合理的に実行可能な限り低くするという原則)」の領域が設定されている。
次のうち、ALARP領域において許容される条件として、最も適切なものはどれか。
問題文の画像
  • ALARP領域は許容領域とも呼ばれるためすべてのリスクが無条件で許容される
  • リスク軽減のために必要となる費用が改善に対して全く釣り合っていない場合
  • 事故発生時の賠償費用よりリスク対策に要する費用の方が高い場合
  • 残存リスクが無視できるレベルの場合
  • リスク軽減に必要な予算はあるが、その予算をリスク軽減以外の事業に投入したい場合

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この過去問の解説 (3件)

01

ALARP領域において許容される条件に関する問題です。

 

ALARP領域は、許容リスクが、許容できる領域として、次の条件の下で成立します。

 

次の2つの条件を満たす限りリスクは許容されます

a) これ以上のリスク軽減が実行不可能か、または、費用が改善に対し、まったく釣り合わない場合。

b) 関連リスクを考慮し、社会がその義務からの便益を期待する場合。

選択肢1. ALARP領域は許容領域とも呼ばれるためすべてのリスクが無条件で許容される

許容される条件ではない

 

キャロットダイヤグラムでは、Ⅰ 許容できない領域Ⅱ 許容できる領域Ⅲ 広く許容できる領域に分かれていて、それぞれの条件の下で成立します。

無条件の許容はありません

選択肢2. リスク軽減のために必要となる費用が改善に対して全く釣り合っていない場合

許容される条件です

 

Ⅱ 許容できる領域が成立する条件です。

選択肢3. 事故発生時の賠償費用よりリスク対策に要する費用の方が高い場合

許容される条件ではない

 

事故発生時の賠償費用よりリスク対策に要する費用の方が高い場合であっても、軽減されるリスクが社会への便益があるかどうか吟味する結果で、ALARP領域かどうかが決まります。

選択肢4. 残存リスクが無視できるレベルの場合

許容される条件ではない

 

この条件は、Ⅲ 広く許容できる領域の成立条件です。

選択肢5. リスク軽減に必要な予算はあるが、その予算をリスク軽減以外の事業に投入したい場合

許容される条件ではない

 

リスク軽減に必要な予算があっても、その予算を他の事業に使用することで、リスク軽減がおろそかになっていると判断され、ALARP領域ではない。

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02

リスクアセスメントの手法である「ALARPの原理」の考え方は、「リスクは合理的に実行可能な限り出来るだけ低くしなければならない」ということです。

① ALARP領域では、全てのリスクが許容されるというわけではありません。不適切です。

② 「許容可能な領域」は、「合理的」にリスクを低減し切れない場合にその残りのリスクの存在を許容してもよい、という意味です。必要となる費用が改善に対して全く釣り合っていない場合、すなわち「合理的」でない場合は、その追加費用を求めない、ということになります。適切です。

③ ALARP領域でみるのは、単純に賠償金と対策費といった費用とメリットとの比較だけではなく、現在の社会の価値観も挙げられます。不適切です。

④ 残存リスクが無視できるレベルの場合は、ALARP領域というよりも、「リスクを広く許容できる領域」に入ります。不適切です。

⑤ 予算をリスク対策以外に使うのはALARPの考え方ではありません、不適切です。

選択肢2. リスク軽減のために必要となる費用が改善に対して全く釣り合っていない場合

この選択肢が適切です。

まとめ

リスクアセスメントやALARP領域の基本的な用語と意味を押さえておきましょう。

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03

この問題で大切なのは、ALARPが
「リスクをゼロにできなくてもよい」
というだけの考え方ではなく、
「合理的にできるところまでは必ずリスクを下げる」
という考え方だと理解することです。

選択肢1. ALARP領域は許容領域とも呼ばれるためすべてのリスクが無条件で許容される

これは適切ではありません。
ALARP領域は、無条件で許される領域ではありません。
この領域では、さらにリスクを下げる方法があるなら、それを検討しなければなりません。

選択肢2. リスク軽減のために必要となる費用が改善に対して全く釣り合っていない場合

これが最も適切です。
ALARPでは、リスクを下げる努力を続けたうえで、さらに下げるための費用や手間が、得られる安全の向上に対して明らかに大きすぎるときは、その追加対策を求めないと考えます。
つまり、合理的に実行可能な範囲までは下げるが、それを超える過大な負担までは求めないというのがALARPの考え方です。

選択肢3. 事故発生時の賠償費用よりリスク対策に要する費用の方が高い場合

これは適切ではありません。
ALARPで見るのは、単純に賠償金と対策費を比べることではありません。
人の安全、健康、社会への影響なども含めて考えます。
そのため、「賠償費用より高いから対策しなくてよい」という考え方は、ALARPの説明としては不十分です。

選択肢4. 残存リスクが無視できるレベルの場合

これは適切ではありません。
残ったリスクがほとんど気にしなくてよいほど小さいなら、それはALARP領域というより、図でいう広く受け入れられる領域に近い考え方です。
ALARP領域は、その中間にある領域です。
つまり、「無視できるレベル」はALARPの条件ではありません。

選択肢5. リスク軽減に必要な予算はあるが、その予算をリスク軽減以外の事業に投入したい場合

これは適切ではありません。
ALARPは、安全より別の使い道を優先したいという理由でリスクを残してよい、という考え方ではありません。
予算があるのに、ほかに回したいから対策しない、というのは、ALARPの考え方に合いません。
大切なのは、合理的に実行可能ならリスクを下げることです。

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